井口秀雄工場長のつぶやき

ドッキングシミュレーションによるノニの抗がん効果の研究

ノニ果実には、抗菌、抗酸化剤、抗がんなどのさまざまな生物学的特性があることが知られています。特に抗がん作用は多くの人が関心を持っているかと思います。下記の論文では、分子ドッキングシミュレーションの調査を行うことで、ノニの抗がん作用のポテンシャルについて評価したとのことです。

Kaliraj Chandran, Drose Ignatious Shane, Azar Zochedh, Asath Bahadur Sultan & Thandavarayan Kathiresan. In Silico Pharmacology volume 10, Article number: 14 (2022). Docking simulation and ADMET prediction based investigation on the phytochemical constituents of Noni (Morinda citrifolia) fruit as a potential anticancer drug.

（邦訳）抗がん剤としてのノニ（モリンダ・シトリフォリア）果実の植物化学成分のドッキング・シミュレーションとADMET予測に基づく検討

ノニに含まれる23種類の植物化学物質と既知のMAPK6阻害剤を対象に、分子ドッキングベースの調査を行った結果、5つの植物化学物質（アスペルロシド、アスペルロシド酸、デアセチルアスペルロシド酸、エイゲノール、およびルチン）がMAPK6タンパク質に対して高い結合親和性を示したとのことです。MAPK経路阻害薬は今後のがん治療の中で大きな役割を担うと期待されているようです。これらの結果は、ノニ果実が伝統的な薬物療法における利用と、新薬の開発を支持しているため、in vivoおよびin vitro評価を通じてヒトがんに対する効果を評価するための出発点となると述べています。今後の研究にもぜひ期待したいです。

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ノニとNK細胞関連の免疫刺激活性に関する研究

ノニジュースが免疫を高めるとはよく言われますが、その詳細に関する研究成果が出ておりました。

Haeyeop Kim, Laily Rahmawati, Yo Han Hong, Su-Young Choi & Jae Youl Cho BMC Complementary Medicine and Therapies volume 22, Article number: 222 (2022). NK cell-mediated immunostimulatory effects of ethanol extract of Morinda citrifolia (noni) fruit.

（邦訳）NK細胞媒介免疫刺激効果モリンダシトリフォリア（ノニ）フルーツのエタノール抽出物

この研究では、マウスにノニ果実抽出物を投与し、自然免疫の主因子として知られるNK（ナチュラルキラー）細胞とサイトカイン産生レベルを分析したとのことです。その結果、NK細胞集団の活性化と増加により顕著な免疫刺激効果があることを確認できたことを報告しております。弊社のノニジュースの免疫力向上の説明でも参考にしたいと思います。

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ノニ果実からエタノールで有効成分を取り出す研究

ノニの実には多糖類、ポリフェノール、フラボノイドなどの多くの有効成分が含まれていますが、下記の論文では、エタノールを用いて有効成分を多く抽出できる可能性を見出したようです。

Processing of Noni Liquor based on response surface methodology. Shusen Gong ,Fei Yang ,Qingfen Wang ,Tian Wu. PeerJ(PeerJ)20220101.

（邦訳）応答表面の方法論に基づくノニ液の処理

検討の結果、多糖類は最高収率16.35％、ポリフェノールは収率10.37％、フラボノイドは収率1.35％の条件を得られたとのことです。将来、ノニ果実酒を作るメリットの科学的エビデンスになりそうですね。

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外来種とコーレーグスの話

弊社ではコーレーグスを長年取り扱ってますが、実入りのものは現在製造販売できておりません。その一番の理由は唐辛子の実が手に入りにくくなったためです。その原因となったのがナスミバエです。

下記の記事によりますと、ナスミバエは主にトウガラシなどのナス科野菜の果実を食害する防除困難な害虫とされております。沖縄本島では2010年に発生が確認され、その後も発生が続いているそうです。県も防除に向けて尽力されてますが、実入りのコーレーグスを以前のように販売できるにはまだ時間がかかりそうです。

「ナスミバエ」の防除対策について

https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/byogaichubojo/documents/nasumibae-tirasi.html

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ノニ近縁種のうつ病効果に関する論文

ノニジュースの元となるヤエヤマアオキと同属のMorinda officinalis oligosaccharides（MOO）のうつ病効果に関する論文の紹介です。

Acta pharmaceutica Sinica. B 2022Aug01 Vol. 12 issue(8). Zheng-Wei ZhangChun-Sheng GaoHeng ZhangJian YangYa-Ping WangLi-Bin PanHang YuChi-Yu HeHai-Bin LuoZhen-Xiong ZhaoXin-Bo ZhouYu-Li WangJie FuPei HanYu-Hui DongGang WangSong LiYan WangJian-Dong JiangWu Zhong. Morinda officinalis oligosaccharides increase serotonin in the brain and ameliorate depression via promoting 5-hydroxytryptophan production in the gut microbiota.

（邦訳）Morinda officinalis oligosaccharidesは脳のセロトニンを増加させ、腸内微生物叢の5-ヒドロキシトリプトファン産生を促進することによりうつ病を改善する。

Morinda officinalis oligosaccharides（MOO）は、中国でうつ病の治療に使用される経口薬ですが、その抗うつメカニズムは未解明とのことで、この論文では、MOOが腸内微生物叢と相互作用し、トリプトファンから5-ヒドロキシトリプトファン（5-HTP）へ、そしてセロトニン（5-HT）への代謝経路に影響を与えることが示されたとのことです。

具体的には、MOOは腸内微生物叢のトリプトファンヒドロキシラーゼレベルを増加させ、これによりトリプトファンからの5-HTPの生成が加速される可能性があること、MOOは5-ヒドロキシトリプトファンデカルボキシラーゼ活性を阻害し、これにより5-HTの生成が減少し、5-HTPが蓄積するとのことです。この蓄積した5-HTPは血液に吸収され、血液脳障壁を通過して脳内の5-HTレベルを改善する可能性を示しています。さらに、MOOの主要成分である五糖も同様のメカニズムで抗うつ効果を発揮することについても触れられています。この研究は、MOOが腸内微生物叢の5-HTP増加を通じてうつ病を緩和する可能性を初めて示したとのことです。ノニジュースもうつ病効果があると説明しておりますが、そのメカニズムは興味深く思いました。

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